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京都地方裁判所 平成6年(わ)1257号 判決 1995年6月08日

(被告人の表示)

氏名

玉井政吉こと金四龍

生年月日

一九二七年六月四日

国籍

韓国

住居

京都府宇治市広野町寺山一〇八番地

職業

砂利採取販売業

主文

被告人を懲役一年六月及び罰金三〇〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金二〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(認定した犯罪事実)

被告人は、京都府宇治市大久保町大竹五八番地において、「玉井開発」の屋号で砂利採取販売業を営んでいる者であるが、自己の所得税を免れようと企て、

第一  平成二年分の実際の総所得金額が三億一一七四万三四一一円で、これに対する所得税額が一億五一二五万七九〇〇円であったのに、売上金額を減算するなどの方法により総所得金額のうち一億八二八五万九一二八円を隠した上、平成三年三月一五日、京都府宇治市大久保町井ノ尻六〇番地の三の所轄宇治税務署において、同税務署長に対し、平成二年分の総所得金額が一億二八八八万四二八三円で、これに対する所得税額が五九八二万八四〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって不正の行為により平成二年分の正規の所得税額一億五一二五万七九〇〇円と右申告税額との差額九一四二万九五〇〇円を免れ、

第二  平成三年分の実際の総所得金額が二億六六六〇万一三五六円、分離長期譲渡所得金額が一〇三六万九三二四円で、これに対する所得税額が一億三〇五四万五四〇〇円であったのに、同様の方法により総所得金額のうち一億二三五一万二三七円を隠した上、平成四年三月一六日、前記宇治税務署において、同税務署長に対し、平成三年分の総所得金額が一億四〇七二万三五五六円、分離長期譲渡所得金額が一二七三万六八八七円で、これに対する所得税額が六八〇七万九八〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって不正の行為により平成三年分の正規の所得税額一億三〇五四万五四〇〇円と右申告税額との差額六二四六万五六〇〇円を免れた。

(証拠)

判示事実全部について

一  被告人の公判供述

一  被告人の検察官調書(検第46号、第47号)、大蔵事務官に対する質問てん末書(検第41号から第45号まで)

一  被告人の陳述書(弁第2号)

一  松村哲雄の検察官調書(検第14号)、大蔵事務官に対する質問てん末書(検第4号から第13号まで)

一  土山年雄の検察官調書(検第17号)、大蔵事務官に対する質問てん末書(検第15号、第16号)

一  横谷享子の大蔵事務官に対する質問てん末書(検第38号)

一  査察官調査書(検第20号から第35号まで)

一  電話聴取書(検第37号)

判示第一の事実について

一  証明書(検第1号)

一  査察官調査書(検第18号)

一  脱税額計算書(検第48号)

判示第二の事実について

一  証明書(検第2号、第3号)

一  査察官調査書(検第19号)

一  脱税額計算書(検第49号)

(法令の適用)

一  罰条 いずれも所得税法二三八条

二  刑種の選択 いずれも懲役刑及び罰金刑

三  併合罪の処理 刑法(平成七年法律第九一号附則二条一項により同法による改正前のもの。以下同じ。)

四五条前段

懲役刑について 刑法四七条本文、一〇条(犯情の重い判示第一の罪の刑に加重)

罰金刑について 刑法四八条二項

四  労役場留置 刑法一八条

五  刑の執行猶予(懲役刑について)

刑法二五条一項

(検察官浦文計出席)

(求刑 懲役一年六月及び罰金四〇〇〇万円)

(裁判官 山口裕之)

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